2026.10.21 経理のしかた

年末調整の流れ(初めて担当される方へ)

給与を払っていて、毎月の給与から所得税を差し引いているなら、年末調整は雇い主の仕事です。従業員が1人でも、家族への給与でも同じです。

毎月差し引いている所得税は、あくまで仮の金額です。1年が終わるころに、扶養している家族や保険料などを反映して本当の税額を計算し直し、差し引きすぎた分を返す(足りない分をもらう)のが年末調整です。多くの場合、差し引きすぎになっていて、還付になります。

1年の流れ

年末調整の1年の流れ
  • 1年を通して:源泉徴収簿をつける 従業員ごとに、毎月いくら払って、所得税をいくら差し引いたかを記録しておきます。年末調整の計算は、この帳簿の1年分の合計から始まります。
  • 10〜11月:申告書を配って集める 従業員に、扶養控除等申告書・基礎控除申告書など(何枚かの申告書が1枚にまとまった様式)・保険料控除申告書を配ります。住宅ローン控除を受ける2年目以降の方からは、住宅借入金等特別控除申告書も出してもらいます。
  • 証明書を添えてもらう 生命保険料・地震保険料の控除証明書や、住宅ローンの年末残高証明書など、申告書の裏付けになる書類を一緒に集めます。
  • 12月:年税額を計算して精算する 1年分の給与と、集めた申告書をもとに、本当に納めるべき税額を計算します。毎月差し引いてきた税額との差を、12月(または最後)の給与で還付するか、追加で差し引きます。還付するお金は会社が立て替えて本人に返し、その分は翌月以降に納める源泉所得税から差し引きます。
  • 源泉徴収票を渡す 計算が終わったら、従業員に源泉徴収票を渡します。
  • 1月:納付と提出 12月分の源泉所得税を、翌年1月10日までに納めます(納期の特例を受けている場合は、7〜12月分をまとめて1月20日まで)。還付を差し引いて納める額が0円になっても、0円の納付書を税務署に出します(金融機関では受け付けてもらえません)。1月31日までに、税務署へ法定調書合計表を、市区町村へ給与支払報告書を出します。税理士や司法書士などへの報酬から源泉徴収した分も、この合計表に載せます。

集めた申告書は、税務署に出すものではありません。会社で7年間保管します。

源泉徴収票は、従業員に渡すほか、年収500万円を超える方などの分を税務署に出します。今回(令和8年分)からは、市区町村に給与支払報告書を出していれば、税務署への提出は要らなくなりました。

毎月の納付が手間なら、「納期の特例」の申請をしておくと、源泉所得税を半年ごとにまとめて納められます(給与を払う人が常時10人未満の場合)。

数字で見ると

従業員が1人、月給15万円、扶養する家族なし、社会保険なし、という例で見てみます(毎月の差し引きは仮に2,500円とします)。

年末調整のお金の動き(例)
  • 1〜12月 毎月の給与から2,500円ずつ差し引き、翌月10日までに納めます。1年で30,000円です。
  • 12月 年末調整で本当の税額を計算します。年収180万円 − 給与所得控除74万円 − 基礎控除104万円 = 2万円。2万円 × 5% = 1,000円です(復興特別所得税を足して100円未満を切り捨てると、1,000円)。
  • 12月の給与 差し引きすぎは 30,000円 − 1,000円 = 29,000円。12月の給与に29,000円を上乗せして本人に返します。
  • 1月以降 返した29,000円は、これから納める源泉所得税から差し引いて取り戻します。1月10日の納付は0円になり、0円の納付書を税務署に出します。ただ、毎月2,500円ずつでは取り戻すのに1年近くかかります。このように2か月たっても取り戻しきれない場合は、税務署に還付を請求できます(年末調整過納額還付請求書)。

個人事業で家族に給与を払っている方も

個人事業主が、青色事業専従者として家族に給与を払っている場合も、年末調整が要ります。毎月の給与から所得税を差し引いているなら、事業主が雇い主として、会社と同じ手順で精算します。

なお、専従者として給与を受けている家族は、配偶者控除や扶養控除の対象にできません。また、白色申告に変えると、家族への支払いは給与ではなく専従者控除の扱いになり、源泉徴収や年末調整もなくなります。

おわりに

年末調整は、集める書類の種類が多く、計算や期限も細かいので、初めての年はどこから手をつければよいか迷いがちです。給与計算のソフトを使うと、申告書の回収から計算、源泉徴収票の作成までまとめてできます。

今年(令和8年分)は控除が大きく変わっています。変わった点は令和8年分の年末調整、今年変わることをご覧ください。

当事務所では、年末調整もお引き受けしています。お気軽にご相談ください。金額は料金のページに出しています。

文責:口中税理士事務所 税理士 口中 満久

この記事は2026年10月21日時点の法令等にもとづいています。制度は改正されることがありますので、ご確認のうえお読みください。一般的な取扱いをまとめたものですので、個別の判断は事情により異なります。具体的なご相談はお問い合わせください。

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