2026.10.21 制度改正
今年の年末調整は、いつもの年とは少し違います。基礎控除や給与所得控除が大きく増え、扶養に入れられる家族の年収の上限も上がりました。
改正は令和8年12月1日からです。1月から11月までの毎月の源泉徴収は、これまでどおりの計算のままです。そのぶん、12月の年末調整でまとめて精算することになり、多くの方で還付が例年より大きくなります。
従業員の方には、「今年は12月にまとめて戻る年です」と先にお伝えしておくと、問い合わせが少なくてすみます。
年収は、給与だけの場合の目安です。
| 項目 | 令和8年分 | 昨年まで |
|---|---|---|
| 基礎控除 | 最大104万円 | 最大95万円 |
| 給与所得控除の最低額 | 74万円 | 65万円 |
| 扶養に入れる家族の年収 | 136万円以下 | 123万円以下 |
| 配偶者特別控除が受けられる配偶者の年収 | 207万円以下まで | 約201万円以下まで |
| 19〜22歳の子の控除が受けられる年収 | 197万円以下まで | 188万円以下まで |
| 勤労学生の年収 | 163万円以下 | 150万円以下 |
基礎控除は、年収約665万円以下なら一律104万円
昨年は、所得に応じて95万円・88万円・68万円と段階がありました。今年は、合計所得が489万円以下(給与だけなら年収約665万円以下)の方は、一律104万円になります。
たとえば年収400万円の方は、昨年88万円だった基礎控除が104万円になります。控除が16万円増え、所得税はおよそ8,000円軽くなります。
年収がそれより多い方も、少しずつ増えています(約850万円までの方は67万円、それを超え約2,545万円までの方は62万円)。
なお、今の104万円には令和8年分と9年分だけの上乗せが含まれています。令和10年分以後は、合計所得132万円以下の方は99万円、それを超える方は62万円になる予定です。
給与所得控除の最低額が74万円に
年収220万円以下の方は、給与所得控除が65万円から74万円に増えます(74万円のうち5万円は令和8年分と9年分だけの上乗せです)。220万円を超える方の計算は変わりません。
基礎控除104万円と合わせて、所得税がかからない年収の目安は178万円になりました。昨年は160万円でした。いわゆる「178万円の壁」です。
扶養に入れる家族の年収は136万円まで
配偶者や扶養親族の年収の上限が、123万円から136万円に上がりました。控除の金額そのものは変わっていません。
配偶者の年収が136万円を超えても、207万円までは配偶者特別控除を段階的に受けられます。19〜22歳の子がアルバイトをしている場合も、年収197万円までは段階的に控除が受けられます。
生命保険料控除の特例
23歳未満の扶養親族がいる方は、新しい契約の一般の生命保険料控除が、最大4万円から6万円になります。令和8年分からの特例です。生命保険料控除全体の上限12万円は変わりません。
今年の保険料控除申告書には、「年齢23歳未満の扶養親族」を書く欄ができています。
「年収の壁」と呼ばれる線はいくつもあり、税金と社会保険で、それぞれ違います。給与だけの場合で並べると、こうなります。
たとえば年収150万円でパートをしている配偶者なら、本人の所得税はかかりませんが、住民税はかかります。夫(妻)は配偶者特別控除を受けられますが、社会保険の扶養からは外れます。
税金の扶養に入れる線(136万円)が、本人に所得税がかからない線(178万円)より低いのは、扶養の線には今年と来年だけの上乗せ分が入っていないためです。
年末調整そのものの手順は、年末調整の流れ(初めて担当される方へ)にまとめています。
今年の年末調整は、控除が増えて還付が大きくなる分、計算の確かめどころも増えます。とくに、年の途中で退職した方や、改正で新しく扶養に入る家族がいる方は、手続きが分かれます。
当事務所では、年末調整もお引き受けしています。今年の手続きで迷われていることがあれば、お気軽にご相談ください。金額は料金のページに出しています。
文責:口中税理士事務所 税理士 口中 満久
この記事は2026年10月21日時点の法令等にもとづいています。制度は改正されることがありますので、ご確認のうえお読みください。一般的な取扱いをまとめたものですので、個別の判断は事情により異なります。具体的なご相談はお問い合わせください。