2026.10.26 確定申告

確定申告が必要な人・不要な人(会社員・年金・副業の目安はいくら?令和8年分)

確定申告が必要かどうかは、原則として「1年間の所得から、基礎控除や社会保険料控除などの控除を引いて、納める所得税があるかどうか」で決まります。

ただし、会社員や年金を受け取っている方は、給与や年金から所得税が前もって差し引かれています(源泉徴収)。そのため、一定の条件を満たせば、確定申告をしなくてよい仕組みがあります。

令和8年分の確定申告は、令和9年2月16日から3月15日までです。

まず早見表

表は目安です。例外は本文に書いています。

こんな方確定申告目安
会社員(年末調整を受けた)原則不要給与以外の所得が20万円以下
会社員で副業がある必要給与以外の所得が20万円を超える
2か所以上から給与をもらっている多くは必要年末調整を受けていない勤め先の給与と、給与以外の所得の合計が20万円を超える
給与が多い必要給与の収入が2,000万円を超える
公的年金を受け取っている原則不要公的年金の収入が400万円以下で、年金以外の所得が20万円以下(ほかの条件は本文)
個人事業主・家を貸している場合による控除を引いても、納める所得税があるとき
家や土地を売って利益が出た必要利益が出たとき(3,000万円控除などの特例で税金が0円になるときも)
株を売って利益が出た口座による証券会社で「源泉徴収あり」の特定口座なら、原則不要

この表は「申告しなければならないか」の目安です。不要な方でも、申告すると還付(納めすぎた所得税が返ってくること)を受けられることがあります(下の「申告の義務はなくても、確定申告で還付を受けられる方」)。

「収入」と「所得」は違います

収入は、受け取った金額そのものです。所得は、収入から必要経費を引いた額です。給与や公的年金は、実際の経費の代わりに、収入の額などに応じて決まった額を引きます(給与所得控除・公的年金等控除といいます)。この記事の「20万円」は、すべて所得の額です。

たとえば副業の売上が30万円で、経費が15万円なら、所得は15万円です。なお、ふだん使っていた服や家具をフリマで売った分には、もともと税金がかかりません。

会社員の方

会社で年末調整を受けていれば、原則として確定申告は不要です。会社が1年分の税金を精算しているからです。

次の方は、確定申告が必要です。

  • 給与の収入が2,000万円を超える
  • 給与以外の所得(副業・家賃など)が20万円を超える
  • 2か所以上から給与をもらっていて、年末調整を受けていない勤め先の給与の収入と、給与以外の所得の合計が20万円を超える
  • 同族会社(株主の上位3グループで株の半分超を持つ会社。中小企業の多くが当てはまります)の役員などで、その会社から貸付金の利子や家賃を受け取っている(20万円以下でも必要です)
  • 給与を払う側に、所得税を差し引く義務がないところから給与をもらっている(個人の家庭で家事の仕事をしている場合など)

2か所以上から給与をもらっている方でも、次の2つを両方満たせば、確定申告は不要です。

  • 給与の収入の合計から、社会保険料控除や扶養控除などの控除(雑損控除・医療費控除・寄附金控除・基礎控除の4つは除きます)を引いた額が150万円以下
  • 給与以外の所得が20万円以下

公的年金を受け取っている方

次の3つがそろえば、確定申告は不要です。

  • 公的年金の収入が400万円以下
  • 受け取っている公的年金が、すべて支払いのときに所得税を差し引く仕組みの年金である(海外で働いていた方が、その国の公的年金を受け取っている場合は、当てはまりません)
  • 年金以外の所得が20万円以下

年金の額が少なく、差し引かれた所得税が0円の場合でも、所得税を差し引く仕組みの年金であれば当てはまります。

年金と給与の両方がある方

給与のほうで年末調整を受けていても、年金の分は精算されていません。年金の所得(年金の収入から、年齢や収入の額に応じて決まる公的年金等控除を引いた額)は、会社員の「給与以外の所得20万円」に含めて数えます。

65歳以上の方は、公的年金等控除として少なくとも110万円が差し引かれます。年金の収入が130万円以下なら、年金の所得は20万円以下に収まります。それを超える方は、確定申告が必要になることが多くなります。

個人事業主・家を貸している方・家や株を売った方

事業や家賃の所得があって、そこから基礎控除などの控除を引いても納める所得税があるなら、確定申告が必要です。ここには「20万円」の目安はありません。20万円の目安は、源泉徴収で所得税を納めている会社員と年金の方のためのものです。

「所得48万円以下なら不要」は古い目安です

48万円は令和6年分までの基礎控除の額です。令和8年分の基礎控除は、合計所得(すべての所得を合わせた額)が489万円以下なら104万円です(104万円には、令和8年分と9年分だけの上乗せが含まれています)。控除が増えた分、所得税がかかり始める所得の額も上がっています。ただし、社会保険料などほかの控除や、青色申告の控除を受けられるかどうかでも変わるので、「いくらまでなら不要か」は人によって違います。

家や土地を売ったとき

利益が出たら、確定申告が必要です。自宅を売ったときの3,000万円の特別控除などは、要件を満たしたうえで確定申告をしないと使えません。

株を売ったとき

証券会社で「源泉徴収あり」を選んだ特定口座(証券会社が所得税を差し引いて納める口座)で売った分は、原則として確定申告をしなくて済みます。この分は、会社員の「給与以外の所得20万円」にも含めません。一般口座や「源泉徴収なし」の特定口座で利益が出た方は、確定申告が必要です。NISAの口座の利益には、もともと税金がかかりません。

申告の義務はなくても、確定申告で還付を受けられる方

確定申告の義務がない方でも、所得税を納めすぎている方は、申告すると還付を受けられます。還付を受けるための申告(還付申告)は、令和8年分なら令和9年1月1日から出せて、令和13年12月31日までの5年間、出すことができます。

  • 年の途中で会社を辞めて、年末調整を受けていない
  • 医療費が多かった
  • ふるさと納税で6つ以上の自治体に寄附した、またはワンストップ特例の申請を出していない
  • 家を買って住宅ローンを組んだ1年目
  • 退職金を受け取るときに「退職所得の受給に関する申告書」を出していない(この場合、退職金から一律20.42%の税金が差し引かれているので、多くの場合は申告すると還付を受けられます)

ただし、給与や年金から差し引かれた所得税も、予定納税(前年の所得税が一定以上の方が、7月と11月に前もって納める所得税)もない方は、申告しても還付される税金はありません。

今年だけ:12月1日の改正で、申告すると還付を受けられる方

令和8年分は、基礎控除や給与所得控除が増える改正があり、12月1日から適用されます。12月の年末調整で反映されるので、多くの会社員の方は手続きは不要です。

次の方は、年末調整では改正前の控除で計算されているので、申告をしないと改正後の控除になりません。

こんな方すること
年の途中で退職して、年末調整を受けていない確定申告
11月30日までに最後の給与と年末調整を受けたあと、亡くなった・海外へ転勤した・休職して年末まで戻らなかった確定申告(亡くなった方・海外へ転勤した方は、下の説明を見てください)
亡くなった方の確定申告(準確定申告)を、11月30日までに出した令和8年12月1日から令和13年12月1日までに、更正の請求
  • 亡くなった方は、ご家族などの相続人が代わりに確定申告をします。これを準確定申告といいます。
  • 海外へ転勤した方は、出国までに確定申告をするか、国内で代わりに手続きをする人(納税管理人)を決めて、確定申告をします。
  • 更正の請求は、一度出した申告の計算をやり直して、納めすぎた税金を返してもらう手続きです。準確定申告の期限がまだ来ていなければ、申告を出し直しても構いません。

給与や年金から差し引かれた所得税がない方は、改正後の控除で申告しても、還付される税金はありません。

公的年金を受け取っている方

公的年金は、12月の年金の支払いのときに、年金を支払う側(日本年金機構など)が、改正後の控除で1年分を精算します。多くの方は手続きは不要です。ただし、次の方は確定申告をすると還付を受けられることがあります。

  • 12月に年金の支払いがない方
  • 改正で、扶養に入れる家族の所得の上限が58万円から62万円(給与だけなら年収123万円から136万円)に上がり、新しく扶養に入れたい家族がいる方

会社の企業年金のうち、確定給付企業年金から受け取る年金は、12月の精算の対象外です。この分は、確定申告をすると還付を受けられることがあります。

改正の中身は、令和8年分の年末調整、今年変わることにまとめています。

20万円以下なら、何もしなくていい?

所得税の確定申告が不要でも、別に住民税の申告が必要になることがあります。副業の所得が20万円以下の方や、年金の確定申告が不要な方も、お住まいの市町村への住民税の申告が必要な場合があります。

また、医療費控除などで確定申告をするときは、20万円以下の副業の所得も含めて申告します。

ふるさと納税でワンストップ特例を申請していても、確定申告をすると、その特例は使えなくなります。ワンストップ特例を申請した分も含め、すべての寄附を確定申告に含めます。

亡くなった方の申告

年の途中で亡くなった方に確定申告が必要な場合は、相続人が、相続があったことを知った日(通常は、亡くなったことを知った日)の翌日から4か月以内に申告します(準確定申告)。還付を受ける場合も、この申告で行います。医療費控除の対象になるのは、亡くなった日までに本人が払った分です。

申告を忘れたら

期限を過ぎても、気づいた時点でできるだけ早く申告します。納める税金がある場合は、申告しなかったことに対する無申告加算税や、納付が遅れた期間に応じた延滞税がかかることがあります。

おわりに

確定申告が必要かどうかは、給与・年金・副業・家賃など、いくつかの目安の組み合わせで決まります。今年は改正もあり、年の途中で退職された方や、ご家族が亡くなった方は、手続きが分かれます。

当事務所では、顧問契約のない方の確定申告だけのご依頼もお受けしています。必要かどうか分からない段階でも、お気軽にご相談ください。金額は料金のページに出しています。

文責:口中税理士事務所 税理士 口中 満久

この記事は2026年10月26日時点の法令等にもとづいています。制度は改正されることがありますので、ご確認のうえお読みください。一般的な取扱いをまとめたものですので、個別の判断は事情により異なります。具体的なご相談はお問い合わせください。

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