2026.09.24 確定申告

会計ソフトがあれば税理士はいらないか

最近の会計ソフトは、銀行やクレジットカードの明細を自動で取り込み、科目を推測して登録し、確定申告書まで作ってくれます。「これなら税理士に頼まなくてもいいのでは」と考えるのは、自然なことだと思います。

結論から言うと、税理士がいらない人もいます。ただ、申告書が作れることと、その中身が正しいことは別の話です。

申告書は作れてしまう

会計ソフトは、入力されたものをもとに決算書と申告書を組み立てます。入力の中身が正しいかどうかまでは判断しません。そのため、中身が間違っていても、見た目はきちんとした申告書ができあがります。

自分で会計ソフトに入力している方の数字を見せていただくと、たとえばこんな状態によく出会います。

  • 現金の残高がマイナスになっている
  • 貸借対照表(決算書のうち、財産や借入金をまとめた表)に、覚えのない残高が残っている
  • クレジットカードの残高が、実際の請求額と合っていない
  • 国民健康保険や国民年金、生命保険が「保険料」として経費に入っている
  • 借入金の返済が、全額経費になっている
  • 12月に終えた仕事の売上が、入金された翌年の売上になっている

どれも会計ソフトはエラーを出しません。そのまま申告書まで進めてしまいます。

会計ソフトが判断してくれないこと

原因の多くは、会計ソフトに入れているものが何なのか、という意識にあります。会計ソフトに入れているのは、家のお金も含めた「出ていったお金」の記録ではなく、事業の一年のもうけ(事業所得)を計算するための記録です。

この違いから、会計ソフトには判断できないことが二つ出てきます。

一つは、事業と生活の線引きです。国民健康保険や国民年金、生命保険は、事業の経費ではなく、確定申告のときに差し引く所得控除です。自宅の家賃や通信費も、仕事で使っている割合に応じて分ける必要があります(家事按分)。

もう一つは、お金の出入りともうけの違いです。売上は、入金された日ではなく、仕事を終えて請求した日(商品を引き渡した日)の年の売上になります。12月に納品して翌年1月に入金される分は、納品した年の売上です。経費も同じで、借入金の返済で経費になるのは利息の部分だけ、10万円以上の備品は原則として何年かに分けて経費にします。クレジットカードは買った日に経費になり、引き落としの日は経費ではありません。

明細を自動で取り込む機能は便利ですが、この二つの判断までは代わりにしてくれません。

税理士がいらない人、いたほうがいい人

事業と生活のお金がきちんと分かれていて、取引の数も少なく、上に挙げたような区別が分かっている方なら、会計ソフトだけで十分に申告できると思います。

一方で、次のことを一度振り返ってみてください。

  • 現金の残高がマイナスになっていないか、確かめたことがありますか
  • 通帳やカードの明細の残高と、ソフトの中の残高を見比べたことがありますか
  • 国民健康保険や国民年金、生命保険、借入金の返済を、どう入力しているか説明できますか

どれか一つでも迷ったら、まずは一度ご相談ください。

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おわりに

当事務所では、会計ソフトへの記帳から決算・申告まで一貫してお引き受けしています。記帳代行は月額の料金に含まれていて、追加料金はかかりません。明細の取り込みは機械で進め、事業と生活の線引きや、もうけの計算が正しいかを、最後に税理士が確かめています。金額は料金のページに出しています。

文責:口中税理士事務所 税理士 口中 満久

この記事は2026年9月24日時点の法令等にもとづいています。制度は改正されることがありますので、ご確認のうえお読みください。一般的な取扱いをまとめたものですので、個別の判断は事情により異なります。具体的なご相談はお問い合わせください。

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