2026.10.02 事務所のこと

AIを使う税理士事務所が、お客さまの情報をどう守っているか

当事務所は、領収書や請求書の読み取りをはじめ、事務所の作業の一部にAIを使っています。お客さまからお預かりする情報が事務所の外でどう扱われるかは、AIを使い始めたときから気をつけてきたことです。2026年9月に、日本税理士会連合会が「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」を公開しました。これを機に、使っている道具と契約をガイドラインに沿って一つずつ見直しました。この記事は、その結果と、いまの運用のご説明です。

なぜ見直したのか

AIに情報を入力するということは、その情報を事務所の外にあるサーバーへ送るということです。税理士には税理士法で守秘義務があり、お客さまの情報には個人情報保護法もかかります。「便利だから使う」だけでは、お客さまに対して説明がつきません。

日本税理士会連合会のガイドラインは、AIを使わないこと自体がリスクだとしたうえで、守るべき3つの原則を示しています。要約すると、法人向けの有料プランを使うこと、データの取扱いについて事業者と契約を結び、入力した内容がAIの学習に使われない設定にすること、事務所としてルールを決めて管理することの3つです。もともと意識していたことですが、この原則に照らして、足りないところがないかを確かめました。

見直した結果、当事務所がしていること

1. 法人向けのプランだけを使う

お客さまの情報を扱うAIは、Anthropic社のClaude(法人向けのTeamプラン)に一本化しました。個人向けの有料プランや無料版は、お客さまの情報を入れる用途には使いません。

2. データの取扱いを契約で確かめる

法人向けの契約には、お預かりしたデータを事業者が自分の目的で使わないことを定めた条項(データ処理契約)が含まれています。この条項があることと、入力した内容がAIの学習に使われない設定になっていることを確認し、確認した日付を記録しています。

3. マイナンバーは入れない

マイナンバーは法律上、決められた目的以外に使えません。番号が記載された書類は、番号の部分を隠してから処理するか、専用のシステムだけで扱います。

4. AIの答えをそのまま使わない

AIは、もっともらしい間違いをすることがあります。AIが読み取った内容は、当事務所が一件ずつ目を通します。税額の計算や申告の方針など、税務の判断にかかわる内容は、必ず税理士本人が法令や通達で確かめてからお伝えします。

5. 事務所のルールとして文書にする

上の内容は、当事務所の「AI・クラウド利用規程」(令和8年10月1日制定)として定めています。使ってよいツールは台帳で管理し、契約や設定の内容は年に1回以上見直します。

お客さまにお伝えしていること

お客さまの情報をAIで処理する場合の考え方は、この記事のとおりです。「AIを使ってほしくない」というご希望があれば、その作業はAIを使わずに行いますので、お申し出ください。書面での同意書をご希望の場合は、ご用意します。

AI以外も、同じ考え方で管理しています

このガイドラインは、クラウドの会計ソフト、オンラインストレージ、Web会議、チャットなども対象にしています。お預かりした資料や数字の保管先は、会計ソフト(マネーフォワード クラウド、freee)と、事務所が法人向けに契約しているGoogle Workspaceの2か所です。これらについても、契約の内容と共有の設定を定期的に確かめています。

まとめ

当事務所は、AIと自動化で入力の手間を減らし、内容の確認とお客さまとのご相談に時間を使う事務所です。そのためには、お客さまの情報が安全に扱われていることが前提です。ご不明な点があれば、いつでもお尋ねください。

参考日本税理士会連合会「税理士事務所のためのAI・クラウド活用ガイドライン」Ver1.0(2026年9月30日・会員向けに公開)

文責:口中税理士事務所 税理士 口中 満久

この記事は2026年10月2日時点の法令等にもとづいています。制度は改正されることがありますので、ご確認のうえお読みください。一般的な取扱いをまとめたものですので、個別の判断は事情により異なります。具体的なご相談はお問い合わせください。

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